“会いたい時に会えない”って、こんなに辛いんだ。毎日毎日、期待をしてはそれを打ち砕かれるなんて。

高校までは経験しなかった感情だった。だってあの頃までは、例えクラスが違ったとしても同じ“学校”という一つの枠の中に相手が居たんだから。



……でも、今は違う。私は学生だけど、高天さんは立派な社会人。二人の接点は通学に私が利用する電車だけ。私が彼と会える確率なんて、三つのサイコロを同時に振って全て同じ目が出る確率よりも低いんじゃないかと思う。



「何で会えないんだろう…」



 溜め息の日々。みんなに「また会えなかった」と伝える度に泣きそうになった。

大好きなお笑い番組を見た後や音楽を聴いた後も、ふとした瞬間に寂しさが襲ってくる。友達と居る時にはそういう感情は何処かに埋もれてしまっているけど、一人になるとどうしても表に出てきてしまう。これが“恋患い”ってやつなのかなぁ…



「私、本当に高天さんと仲良くなれるのかな…?」



 弱気になって、ハッとみんなの顔が浮かぶ。いつも笑顔で応援してくれる友達。弱気は損気だ。前向きに行こう。

おとぎ話の世界には憧れるけど……気付けば私は、待つより追う恋に走っていた。