その後、長い間お父さんに怒鳴られ続けたのは言うまでもない。傍らではお母さんと陽留が呆れた……というよりも、むしろ哀れな人を見るような顔を私に向けていたような気がした。

家族みんなに「ごめんね」と謝って、心配をかけた友達にも『定期見つかりました！お騒がせしてごめんね』というメールを送った。とりあえず、ホッと一息。



「陽富。あんた明日の朝、駅員さんにお礼言うのよ。迷惑かけたんだから。」

お母さんの言葉に深く頷く。お父さんがあんなに大きな声で、凄い剣幕で怒鳴ったんだ。きっと今頃、全ての駅員さんに情報が回っているんだろう。



「はーい……お休みなさい。」



私は家族みんなにお休みを言って、漸く自分の部屋に戻ってからベッドに入った。寝る前に携帯をチェックすると、定期が見つかったことを喜ぶ三通のメール。奏音ちゃん達だ。

私は『迷惑かけて本当にごめんね。明日も学校頑張ろうね！お休み!!』と返信した。そして、枕元にアラームをセットした携帯を置いてから目を閉じた。



……翌日。お母さんの一言に従うという行動が、この先の毎日を大きく変えるなんて。この時の私は思いもしなかったんだ。