「──陽富(ひとみ)さん、どうしたの?ぼんやりして。」
「え?あ、何でもないです…」
人もまばらな、夕方のある日のレストラン。意識を遠くにやっていた私は、空渡(そらと)さんの声でハッと我に返った。
私達は、只今デートの真っ最中。二人で食事をしているにも関わらず、私は一人勝手に物思いにふけっていたのだった。
「珍しいね、ぼんやりするなんて。大学が忙しいとか?」
心配そうに尋ねる空渡さんに、慌てて首を横に振った。彼のことだから、色々と一人で考え込んでしまうに違いないからだ。
「大学はいつも忙しいですけど……って、そうじゃなくて!あの、えっと…」
言い訳をする私を見て、彼は控えめにクスクスと笑った。公共の場で大笑いしないところが、やっぱり大人だ。
「もう!笑わないで下さいよ!!」
「ごめんごめん。で、何でボーッとしてたのかな?」
相変わらずクスクス笑いながら尋ねる彼に、私は小さく笑って、そっと呟いた。
「……ちょっと、私達が出会った頃のこと思い出してました。」
それを聞いた空渡さんは、嬉しそうにニコリと笑った。
……目を閉じれば、今も蘇る。
「え?あ、何でもないです…」
人もまばらな、夕方のある日のレストラン。意識を遠くにやっていた私は、空渡(そらと)さんの声でハッと我に返った。
私達は、只今デートの真っ最中。二人で食事をしているにも関わらず、私は一人勝手に物思いにふけっていたのだった。
「珍しいね、ぼんやりするなんて。大学が忙しいとか?」
心配そうに尋ねる空渡さんに、慌てて首を横に振った。彼のことだから、色々と一人で考え込んでしまうに違いないからだ。
「大学はいつも忙しいですけど……って、そうじゃなくて!あの、えっと…」
言い訳をする私を見て、彼は控えめにクスクスと笑った。公共の場で大笑いしないところが、やっぱり大人だ。
「もう!笑わないで下さいよ!!」
「ごめんごめん。で、何でボーッとしてたのかな?」
相変わらずクスクス笑いながら尋ねる彼に、私は小さく笑って、そっと呟いた。
「……ちょっと、私達が出会った頃のこと思い出してました。」
それを聞いた空渡さんは、嬉しそうにニコリと笑った。
……目を閉じれば、今も蘇る。