─じゃあ、気をつけて。

『有難う、お父さん、行ってきます。』

わたしは、父に学校まで送ってもらっている。

お嬢様だから、とかではなくて、

ただ単に父の会社と、学校の方向が一緒だから。

『はぁ…』

お父さんが居なくなったのを確認して、溜め息を吐く。

別に、今の生活に不満は無い。

学校でも、上手くやっている。

でも、それは自分を偽っているから。

“本当のわたし”を出せる場所が無いんだ。