学校につくとアヤは陸上部の朝練へと向かう。
「今日も私ばっかり喋っちゃったな。」
アヤは小さく反省する。
いつもアヤの話を優しく微笑んで聞いてくれるサト。
彼との通学はアヤにとって毎日の大切な幸せだった。
朝練はいつも二番目に到着。
いつも一番に来ているのはマユ。
陸上部の女子エースだ。
「今日もサトくんと登校?いいなあー!マユもサトくんと登校してみたいな!なーんてね。アヤそんなふくれっ面しないで!私はアヤの恋応援してるよ!」
アヤに今朝のことを話したり恋愛相談したりしているうちにみんな集まってきて朝練開始。
アヤの高校の陸上部は名門といえる位置にいて真剣に全国入賞を目指している。
毎朝の朝練、お昼休みのミーティング、放課後の練習。
陸上を中心に毎日が進んでいく。
厳しい練習は辛いこともたくさんあるけれど、目標に一歩ずつ近づいている実感もあり、やりがいがある。
アップ、準備体操、そして走り込みを始めた陸上部にときたま目を向けながら、サトは図書室で勉強していた。
夢に向けてまだ高校生のサトにとって今できることは勉強をすることぐらいしかなかった。
サトは運動神経の良さから色々な部活に声をかけられることも多かったが、部活には決して入ろうとせず毎日ありったけの時間を勉強につぎ込んでいた。
高校の勉強だけでなく、あらゆる分野の本を読み漁り知識を蓄えていった。
彼の学習意欲には教師もたじたじとするほどであった。