「お待ちなさい!!村では、戦争がおきているんだよ?女の子ひとりじゃ、あぶないよ」

お兄さんが、エミィを心配しています。

「でも、どうしても東の村に行かなきゃいけないの」

エミィは、力強くお兄さんに言いました。

「…大事なご用があるんだね、お嬢さん。…それじゃあ、行っちゃダメって言えないから、僕も一緒に行くよ」

そういうと、お兄さんは足下に置いてあった袋を背負いました。

「えっ!?でも…」

エミィは、ちょっと困りました。

『…ドラゴン姫や。人間を信じちゃいけないよ?』

山を出る前に、ドラゴンばあさんに、そう言われていたからです。

「…グニール。ねぇ、グニール」

エミィは、お兄さんに聞こえないように、指輪に話しかけました。

『なんでございましょう、エミィさま?』

指輪から、グニールの声が聞こえました。

「このお兄さん、信じても大丈夫かしら」

『ワタクシは人間が好きじゃありませんので、信じられません』

グニールは、指輪から頭だけ出してお兄さんを見ると、冷たくそう言いました。

エミィは、お兄さんの顔を、じっ…と見つめました。