芸能科の校舎もまだ把握していないくせに、普通科の校舎なんてわかるわけがない。

それでも、手当たり次第に校舎を走り回った。

いない・・ 流石に、階段を駆け上がり、廊下を突っ走り、息があがる・・

「ハァハァ・・・」

ふと、視線を落とした・・

ん? いた・・・・

中庭だ!!

オレはさっき駆け上がったばかりの階段を勢い良く降りていく・・

ハァハァ・・息を整えながら、姫花の元へ歩いていった

「姫・・・」

まぁるくなって座っている姫花の隣にオレも座った

「なぁ・・ 姫・・ オレらがいるじゃん? オレらとじゃ、放課後ブラブラ遊んだり、カラオケ行ったりできねぇけど、スタジオ見学とかテレビ局見学とかだったらいつでもOKだぞ? 夜中に何時間も長電話とかできねぇけど、姫のスキなもんとか嫌いなもんとかならわかるぞ?オレは姫とどっかに行かなくても、こうやって、隣に座っているだけで、同じ時間を共有しているだけで、心が落ち着くよ・・それに・・」

「もういいよ・・ 潤ありがとう・・ なんか、普通科の友達っていうのにこだわりすぎてたのかも・・」

「そっか・・・」

「あ~ 泣いちゃった~ もうやだ~ 目が腫れる~」

「オイオイ・・ もう復活かよ?」

「そんなに単純じゃないけど? じゃ、行こうか?」

「行くってどこに?」

「カラオケ行くんでしょ?」

「え? でも・・・・」

「わかってるよ。 でも、行かないのも癪に障るし・・・」

「でも、あれ誰かわかるのか?」

「あれ・・ アミちゃんだと思う」

「アミって、お前をクラスに溶け込ませてくれたって女か?」

「そう」

「あんなに仲よさそうだったのに?」

「うん」

「女ってこえ~のな・・・」