「姫花さん入りました~」 

どこからか声がかかる


「こんにちは。今日はよろしくね」とカメラマンが寄ってきた

軽く挨拶をかわすが、一向に撮り始める様子がない

こっちは、このバスローブの下はパンツ一丁なんだぞ!と思うと怒りやら、恥かしさやらで顔が赤くなってきたのが自分でもわかってしまう。

もう、この格好でいることに耐えられなくなり、近くのスタッフに声を掛けた

「あの~ いつになったら撮るんですか?」

「あっ、すみません。 もうひとり来るんです。入り待ちなんです」と申し訳なさそうに話すスタッフさん

「あっ、そうですか・・ あの~ずうずうしいんですが、その方がいらっしゃるまで控え室にいてもいいでしょうか?」

「あっ、そうですよね? 構いませんよ。」という優しいスタッフさんの声を聞き、さっさと部屋に戻ろうと立ち上がった時、声がかかった

「伊藤けんさん、はいりました~」

はぁぁぁぁ!!! 伊藤けんだと? その声におもわず、入り口に目を向けた

そこには、姫花と同じようにバスローブをまとった賢次が立っていた

唖然とする姫花をよそに、ニコニコしながら歩いてくる賢次

「姫、待たせてごめんな」と姫花の前に立ち止まり、手を合わせ謝ってくる賢次

先に謝られると怒れなくなる・・

「・・・・・・」

「本当、ごめんな 渋滞しててさぁ・・」と言う賢次

「なんで、あんたがいるのよ!! それに私が不機嫌なのは、遅刻じゃないし!!」

賢次と姫花がそんな会話をしているところへカメラマンがやってきた

「お話中ごめんね~ 今回の絵コンテみてほしいんだけど?」と1枚の紙を差し出した

「「・・・・・・・」」

それを見て固まるふたり・・

「は!! 何これは・・ む・・無理ッ!!」

「オイオイ・・誰だよこれ書いたの? きついだろ・・あ~もうどうするよ?」

ちそれぞれ妄想の世界へトリップしていた