「姫ちゃん? こんな所で何してるの? 教室行こう?」

「そうだね!」

そして、咲の大変身の噂はあっという間に普通科の校舎をかけめぐり、教室まで見に来る野次馬であふれかえった。

「姫ちゃん・・気のせいかも知れないけど、なんかすごい視線を感じる」

「そうだね。気のせいじゃないよ? みんな咲ちゃんを見に来たんだよ」

「なんで? また嫌がらせ?」

「違うと思うよ。でも、この10分を乗り切れば、もう時間だから」

「撮影なんて、見学させてもらうの気が引けてたけど、この場から逃げれるならなんでもいい! 」

「アハハ! そうだね。 」

そして、本鈴が鳴り響き、授業が始まった。

廊下の野次馬は去って入ったものの、今度はクラスメイトから送られる視線がますます咲を俯かせていった。

咲にとっては、このうえないほど待ち焦がれた、授業終了の鐘と共に、姫花と咲は教室を後にした。