「姫? こちらのステキなレディは紹介してくれないの?」

咲はその言葉だけで真っ赤になり俯いた

「あ~ ゴメン! クラスメイトの咲ちゃん!」

「はじめまして、ここのオーナーのルーカス・コンドウです 」と咲に右手を差し出した

咲はおもむろにその手を握り

「藤田咲です・・」とだけ挨拶した

「ルーカスのパパが日本人なんだよ! だからこの顔で近藤なの! おかしいよねぇ」と姫花は笑った

そう・・ルーカスは切れ長の目に顎に少しひげを生やし、色黒でなかなかの色男だったのだ

「こんな強面が作るチョコだけど、食べて行ってね!」とルーカスは咲にウインクした

「こら~!! かわいい純情咲を誘惑するな~」と姫花はルーカスの頬をつねった

「イデデデッ・・」といいつつルーカスは笑っていた

「姫の注文分はもう出来てるから、帰りに渡すよ それで、咲ちゃんはいかがいたしますか?」

とルーカスは姫花につねられて少し赤くなった頬を撫でながら咲を見た

「えっとぉ・・・」ルーカスに見つめられて、咲は言葉に詰まった

「咲は、大吾の分だけ?」

「えと・・パパとおにいちゃんの分も・・」

「咲にお兄ちゃんなんていたんだぁ! 初耳ぃ・・ それで、甘いのとか平気なの?」

「ん~ 得意ではないけど、苦手じゃないと思う」

「OK! ちょっと待ってて!」とルーカスは一旦厨房に消え、すぐに二人の元へ戻ってきた

ルーカスはトレーに乗ったバラの形のチョコを咲に差し出した

「コレ、新作なんだ 日本のバレンタインに合わせたんだけど、ちょっと手が込みすぎて、商品化はできなかったんだけど、食べてみて!?」

ルーカスに促され、咲はそのチョコを口に運んだ

「!?」口にいれただけで、溶けてしまう・・

思わずルーカスを見た咲

「気に入ってくれた?」というルーカスに何度もうなずく咲