「「かんぱ~い」」

「うい~す」

「「かんぱ~い」」

「「おつかれ~」」

カチン!

グラスがぶつかる音がする

「お前らさ~ まだ明日もあるんだろ? なんだよ?この初日打ち上げって・・」

と呆れ顔のアリ

「いや~ 接客ってすげ~大変なのがわかったよ~ アリってすげぇのな!」と龍馬

「え?」

「そうそう・・私も普段使わない気使って、ヘトヘト・・・・」とりんはソファに深くもたれた

「だから、客の気分を味わいに・・・」と大吾はアリを見た

「そう・・・君達が俺らの苦労を少しでもわかってくれただけいいよ。でも、そこで俺らを労わるわけでもなく、わざわざ仕事を増やしに来たって訳?」とアリ

「アリ~ 客だよ? 儲かってナンボじゃねえの?」と潤也

「いやいや・・この空間はハッキリ言って君らのプライベート空間だからね・・」とアリ

「来ても、来なくても売り上げにはひびかねぇよなぁ・・」とアリを見てガクが笑いながら言った

「じゃあ、いつもおいしいお酒と場所を作ってくれるアリの為に一曲・・・」と日向がバイオリンを持って立ち上がった

やっぱり日向の奏でる音楽は、優しくて、みんなの心の隅々まで染み渡るようだった・・

「ありがとう・・日向」とアリは日向に微笑んだ

「どういたしまして・・」

「日向が、あの【神路日向】だとは気がつかなかったよ」

「・・・あのって?」姫花がアリに聞き返した

「・・・・・・」日向に視線を移すだけのアリ

「あの神路なんて、大げさだよ・・ 簡単に言えば・・失踪中?」と日向は笑った

失踪中・・なんてガクは聞いてなかったし、元々日向の音楽を知っていた咲のようなファンも知らない事実だった