「ん~ 隣にいるのが自然って感じかな。 一緒の空間にいても気にならない」と日向

「それって、いてもいなくてもどっちでも良い様にも聞こえますけど?」と潤也

「そうかな? 何かを一緒にやるっていう時間の共有なら、俺と君でも出来るかもしれない。でも、俺は、君と同じ空間にずっとはいられないかな」と日向は笑った

暗に牙を向けられて、潤也は返す言葉が見つからなかった

「一緒にいて、お互い別の事をしながら時間を過ごす、その中で、時々心が反応しあうんだ。俺たちってそんな関係」と日向は締めくくった

もう誰もふたりに突っ込まなかったし、姫花自身、日向がそんな風に自分との事を考えて、感じてくれていたなんて思わなかったので、驚いたし、嬉しかった

少し離れたカウンターで賢次は皆に背を向け、話を聞いていた

「賢次・・いいのか?」

そんな賢次を心配そうにアリが見る

「良いも何も・・・姫花が選んだのはあいつだ」

「選んだって・・お前は選ばれるように立候補したのか?」と龍馬

「立候補って・・選挙かよ」と呆れ顔の賢次

「あきらめるのか?」とアリ

「さぁね・・ 」と賢次はグラスの中身を一気に空けた

「そう簡単にはいかねぇよなぁ・・ あんないい女早々いねぇし、ましてやその良い女と一緒に育ってきたんだから・・・ お前の女の基準って姫花だもんなぁ・・」と龍馬

「それは改めたほうがいいよ?姫花は並みの女じゃない」

とアリは新しいグラスを賢次の前に置いた

「・・・・わかってる 姫花は並みじゃない あいつは最高だよ」

と言う賢次はどこか遠くを見ていた