ナビに案内された水族館は、平日ということもあり、空いていたのでゆっくり見ることが出来た。

「姫ちゃん、ちょうどイルカショーするみたいだよ!」

日向は電光掲示版を見て言った

「本当ですか! 行きましょう!」

姫は嬉しくなり、思わず日向の手を取り小走りに駆けていた

「そんなに慌てなくても大丈夫だって!!」

と日向は姫花のささいな行動がかわいく感じてしまっていた

「だって、せっかくですから出来るだけいい席で見たいじゃないですか!?」と言う姫花は必死

姫花が必死になったおかげか否か、真ん中の席に座ることが出来た。

プールサイドで吹かれる笛の音に合わせジャンプするイルカ達・・

「なんかいいですよねぇ・・・あこがれますよねぇ・・・」

とその光景をうっとり見つめる姫花

別に自分は姫花にとって、彼氏でもなんでもない位置にいるのだが、こうしてデートもどきをしているカラか、憧れますのたった一言でイルカに指示を送っているプールサイドの男性が嫌な男に見えてくる。 が、そんなことは姫花には言えない日向は思ってもないことを口にした。

「そうだね・・・かっこいいよね」

「本当に・・輪廻転生があるのなら、来世はこんな風に生きてみたい」

という姫花の言葉に固まる日向

え・・・生まれ変わったらイルカの調教師になりたいって?

「え? 姫ちゃん? 今からでも遅くないんじゃない?」

イルカと泳ぐ姫花なんて、想像しただけでドキドキしてくる日向

「無理ですよ~ だって私、人間ですもん!」

おっつ・・・ そっちか・・・

日向は何も返す言葉がなかった

「イルカってすっごく頭がいいんですって! それにあの可愛さでしょ? 本当に憧れちゃう!」

姫花と日向の全く噛みあっていなかった会話も、イルカのジャンプによる歓声にかきけされ、その後、水族館をたっぷり堪能した二人は、当初の予定通りの魚市場・・とはいかなかったまでも、海沿いの魚屋で新鮮な真鯛と蛸を購入し、家路についた。