ガクは、仕事もあったため、今日は、日向の運転で帰る事になっていたので、昇降口で日向が待っていても姫花は驚くことはなかった。

「日向先輩、お待たせしました」姫花は笑顔で日向の元へ行った

「じゃあ行こうか」と日向はニコッと微笑んだ

姫花は日向の愛車のアルファロメオの助手席に乗り込んだ

「ガクは仕事でいないし、時間的にお昼食べに行こうか?」

「はい!」

姫花にとって、日向はアニキの友達であるし、ここ数週間一緒に暮らしていて、かなり心を許していたため、特に深く考えることもなく、日向の誘いを受けた

エンジンを掛けると、急に日向が姫花に覆いかぶさるような仕草をしてきた

【エッ・・・】

一瞬、姫花の心臓が踊った

日向は、シャっと姫花にシートベルトを閉めただけだった


【なっ・・・なんだ・・・】

一瞬だったが、踊ったこの心臓の動きに姫花は戸惑っていた

「今は、助手席もちゃんとシートベルトしなきゃならないんだよ」

と姫花の戸惑いに気がつかない日向は笑って姫花から視線を外した

「あ~そうですよね」

と姫花は日向にこの戸惑いを気づかれないように極力平静を装った

「姫ちゃんは何が食べたい?」

「制服なんで、かる~いお店がいいです」

日向とガクとの外食はいつも普通の高校生では入ることの出来ない様なお店ばかりだったので、姫花はカジュアルなお店に行きたかった

「お店じゃなくって、食べたいものだよ?」と日向は苦笑い

「う~ん・・・」パッと思いつかない姫花は考え込んでしまった

「わかったよ・・じゃあ任せてくれる?」と日向はハンドルから体を離し、姫花を見た

「お願いします」姫花が微笑んで返事をした

日向は姫花のその笑顔を見て、アクセルを踏み出発した。