姫の隣に来たのは、賢次だった

「もう大丈夫なのか?」

「今はだいぶいいよ」

「そうか・・・ 姫が倒れたってマネージャーから聞いた時のがっくん、すげぇ焦ってたぞ」

「仕事放りだしてまで帰ってこなくてもいいのにね」

「俺もすげぇ心配した・・・」

「いっつも心配掛けてばっかりだよねぇ・・・アニキにも賢次にも・・」

「そういえば、子どもん時歩きながら寝て、土手から川に落ちて、腕ぱっくり切ったよなぁ・・・」

「そんな事もあったよねぇ・・・」

「あん時のがっくんの焦った顔、いまだに忘れらんねぇ・・・」

「いつまで経ってもそんな顔させて、私って成長してないよね・・」

「あん時は、テレビの影響で盲目の振りして歩いて、そのまま寝ちゃったんだっけ? 今はそんなアホな事してねぇじゃん!」

「ねぇ・・馬鹿にしてる?」

「してねぇけど?」

「そう・・・」

目の前には、ホタルがいて、上を見れば、満天の星空で、隣にいる幼馴染

蚊には刺されたけど、心に空いた穴が少し小さくなった

物心ついた頃から一緒にいる賢次の存在は、姫花にとって、心地いいものだった

こうやって、昔から私の心を穏やかにしてくれる幼なじみの賢次・・

ありがとう・・・