ねぇ、どうしたいの?



早く水曜日になってくれないかな……。

宮塚くんに委員の話を聞いてから、そんなことばかり考えてしまっている。

今日は金曜日。
週末が終わっても、まだ3日間もあるんですね。

「時間が経つのって遅い……」
「あら、美桜。それは何か楽しみにしていることがあるってこと?」


知らず口から出ていた言葉に、杏華ちゃんが反応した。


「楽しみと言うか……楽しみ、なんでしょうか?」
「私に聞かれても……。」


委員会のない日は、こうして杏華ちゃんと帰るのが日課。


通学で使う駅も一緒なんです。


「今日は金曜日だし、どこか寄ってかない?」


杏華ちゃんの提案に、私は大きく頷いた。


「じゃあこの前話したクレープでも……あれ?」
「どうしたの?」


駅の改札を通ろうとしたとき、杏華ちゃんが鞄の中を覗き込み、足を止めた。


「ごめん、学校に定期忘れたみたい。ちょっと取りに行ってくるね。」


言うと同時に杏華ちゃんは走り始めてしまった。


駆けていく背中に、

「待ってるね!」

と声を掛けた。


杏華ちゃんは振り向きはしなかったけど、片手を上げてくれたので聞こえたようだった。