ねぇ、先生。


「茉央、ここじゃ話せないから、体育祭が終わったら話そう。とにかく今は落ち着いて」

「…うん、分かった」

頭がクラクラした。

体の火照りもさっきより増したような気がして、怠くてあまり動く気になれない。

暑かったからかな、なんて思ったりもしたけど、原因はそれだけじゃないような気がする。

今日は色々考えすぎた。ただ体育祭を楽しむだけだったはずなのに、それだけで済まなかったから。


フォークダンスの列に並ぶと、隣には加地くんじゃなくてシロがいた。

加地くんはあたしの1つ前の女の子とペアになってる。何で?

「今日男子が1人休んでるからペアがズレるんだって。咲良今日は俺とな。」

「そっか。」

あたしの元気がないことに気づいてか、いつもみたいに騒がしく絡んでくることはなかった。


「お前ほんとに大丈夫?」

「ん?何で?」

「やっぱ顔赤いし。」

「日焼けだよ。」

そっか。シロは元気がないことに気づいてるっていうか、あたしが体調悪いって思ってるんだ。