ねぇ、先生。


言い返せないから。

シロだったらもうこの話はやめてたと思う。だけど加地くんは違う。

あたし自身間違えてるって分かってるから加地くんに何も言えない。


「蓮くんには渡さない。」

「え…?」

あたしの手を掴んだままの加地くんがあたしを見つめて言う。

渡さない、ってどういう意味?

…加地くん、何言ってるの?


「蓮くんといても幸せになれない。」

「…っ、何それっ、離して…!」

「咲良も分かってんだろ?」

やめてって、加地くん。

そんなこと言わないで。

「あの人教師なんだから。」


教師?知ってるよ、そんなこと。

ずっと前から知ってる。そうじゃなければいいって、誰よりもあたしが一番思ってるんだから。

何でダメなの?教師だから?

それでも傍にいたいって思ったんだもん。離れても好きって気持ちが消えなかったんだもん。

否定されたって先生から離れるなんて絶対に嫌。だからこうして内緒で付き合ってるのに。