「加地くんっ、一緒に来て!」
加地くんもリレー選手だ。
加地くんを呼ぶと、少し戸惑ってたけど走ってテントから出て来てくれた。
そして状況が分かると、ゴールへと走り出す。けど、加地くんのスピードにあたしが追いつけるわけない。
「えっ…はや!」
あたしがゴール出来ないんじゃ全く意味がない。加地くんだけゴールしてもダメなんだよ。
アンカーを務めただけあって、ものすごく速い。ついて行けてないあたしに気づいたのか、途中で振り返った。
「遅いって」
「加地くんが速いんだよ!」
少し止まって待ってくれた加地くんに追いつくと、そのまま手をグイッと引っぱられる。
もつれそうになる足を必死に動かしてそれについて行った。
何これ。これじゃどっちが借り物競争の走者か分からないじゃない。
加地くんに引っ張られるがままゴールすると、どうやらあたしが1位だったみたいで。
「俺のおかげ。」
「…っはぁ、疲れた…っ」



