「それ見たら、多分美術の先生っぽく見えるはず!」

自信満々に言う篠原先生が可愛くて、自然と笑みがこぼれた。

「信じてないでしょ?」

「んふふ、だって、あたし先生のその姿見たことないですもん」

「あー、確かに。咲良さんって美術とってるの?」

これほど美術をとっておけばよかったと思ったことはない。


「とってないです」

「そっか、残念。でも、俺いつでも美術室いるから、見においでよ。」

「行ってもいいんですか?」

「もちろん」


もしかしたら篠原先生は、あたしがあのコンビニ店員だってことに気づいていないのかもしれない。

その方がいい。

だってきっとあたしは、篠原先生のレジをしてるとき、思い切り顔に好きですって出てた気がするから。