ねぇ、先生。


「楽しみだね、茉央。」

「…またそうやってからかって…、あたし嫌だからね。こんな大勢の前で先生のこと呼びに行くの。」

「えー、あたしちょっと期待してるのに」

ほんと、あたしと先生のことになると梨花の方が楽しんでる気がする。


「ほら、次茉央だよ。」

背中を押されてスタートラインに立つけど、周りにいるの子はみんな足が速そうに見える。

気のせいかもしれないけど。

「頑張ってね、茉央!」

横から応援してくる梨花。


パンッと音がして一斉に走り出したけど、やっぱり思っていた通り。みんな速すぎて追いつけない。

幸いみんながみんな速いわけじゃなくて、あたし1人が遅れてるってことはなかった。

速い子はもう箱の前まで辿り着いてて、手探りで紙を取り出してる。

少し遅れてあたしもそこに辿り着いて、恐る恐る箱の中に手を入れる。

…変なのじゃありませんように。

意を決して1枚掴んで取り出した。