ねぇ、先生。


…あれ、加地くんとシロっていつからここにいたんだろう。今来たばかり?それとも……最初からいた?

もしかして、先生とのやりとりを加地くんに見られたかもしれない。

それで目をそらした?


「白城くんより速いんじゃない?」

「それは何とも言えねーな。」

「何それ、絶対篠原先生の方が速いから」

梨花とシロのやりとりにも、加地くんが気になって笑うことが出来ない。


「ね、茉央。」

「えっ……あ、うん。」

「咲良、お前何か顔赤いぞ。」

「…そう?ずっとここにいたからかな。日焼けしたのかも。」

シロの言う通り、頬が熱いような気がする。…ていうか、頬だけじゃなくて体全体に熱い。

「ほんとだ。早く教室に戻ろ、これからお昼だし。もう戻っていいみたい。」

あたしの手首をキュッと掴んで歩き出す梨花。それに続いてシロも加地くんも歩き出した。

教室に戻る間加地くんは一言も喋らなくて。それどころか目も一度も合わなかった。