ねぇ、先生。


「え?あ、うん」

「もう半分以上終わったよ。」

「…うん、もうほんとに受験生だね」

「そっか。じゃあこうやって会える時間も減るんだよなー。」

さっきまでの話なんて気にしてないみたいに話をするから、少し戸惑った。

だけど、直接聞いたわけじゃない話をいつまでも気にするのもおかしいから。


「先生、勉強教えてよ」

「俺?俺そんなに賢くないよ」

「先生になれてるくらいだから大丈夫。ね?あたしたまにここで勉強するから」

「ん、じゃあ少しなら」


自信がなさそうに頷いたけど、あたし知ってるもん。先生が賢いって。

だって中村さんが言ってた。

先生が言ってた大学も大学院も、有名なところだって。だから何で教師を選んだのか分からないって。

普通なら美術教師なんて選ばないようなとこに行ってたのに、何でうちに来たんだろうって言ってたよ。

自己紹介の時に言わなかったから、きっとみんな知らないこと。

先生は自分のことをあんまりみんなに話さない。だからきっとみんなは先生がほんとは凄い人だって知らないんだよ。