運が悪いと言うべきか。
こうなることが分かっていたらビターさんのことを気にしたりしなかった。
こんな風に見たりしなかった。
「担任の中村だ。1年間よろしく。」
中村さんが黒板の前で緩く挨拶する。
後ろの席のシロはそんな中村さんを見て嬉しそうに笑ってた。
隣の席の梨花はそれを呆れたように見て、ため息をつく。
「白城、うるせぇぞ。」
「中村さんはいいからさー、副担の紹介してよ!」
「うっせ。分かってるよ」
中村さんの隣でニコニコ笑う人。
「じゃあ、自己紹介よろしく」
中村さんの代わりに教卓の前に立ったその人は、「えーっと」なんて言って話し始めた。



