ねぇ、先生。


どんな絵かってことももちろん気になるけど、描くのが先生じゃなきゃきっと見に来てない。

先生が描く絵だから好きなんだ。

あたしのために描くって言ってくれた絵だから好きなんだ。


少し移動して机に伏せると、窓から見える景色が青空だけになった。

目を閉じると、微かに入ってくる風が髪を撫でるのが分かった。

夏なのにここだけ少しヒンヤリしてる。

冷たい机が気持ち良くて、何だか眠くなってきた。


先生が来るまでの少しの間なら、なんて思って目を閉じたまま。

外から聞こえる元気な生徒の声も、今は子守唄でしかない。

微かな風も夏の日差しも、冷たい机も、この落ち着く雰囲気も、眠気を誘うには十分だった。


意識がだんだんと薄れていく。

夏の暑さに疲れた体が、もう起き上がることを許してくれない。

ほんとに、少しだけ。

そんなことを思いながら、あたしは完全に意識を飛ばしてしまった。