ねぇ、先生。


「あっ!」

涙を溢したまま梨花が叫んだもんだから、体がビクッとはねた。

「な、何?」

「白城くんに聞かれてたのって、もしかして先生とのことだったのっ?」

咄嗟に聞かれたから言葉が出なくて、その代わりにコクンと頷く。


「あの、まだハッキリ聞かれたわけじゃないから分かんないんだけどね、多分そのことだと思う。」

「そっか…まぁ白城くんはねー…」

「シロが何?」

そう聞くと梨花は苦笑いであたしを見て、何でもないと言って誤魔化した。


「さっきも言ったけど、別に茉央が分かりやすいわけじゃないと思う。ただ…」

「ただ?」

「茉央のことよく見ててくれてる人には伝わっちゃうのかもね」

「あたしのことを?」

それってどういう意味だろう。


「茉央のことを大切に思ってる人にはわかっちゃうんだよ、多分」

それじゃまるで、シロがあたしのことを大切に思ってるみたいじゃない。