ねぇ、先生。


「今のはちょっと分かりやすかったかも」

先生との関係が始まって、もう少しで二週間になる。

相変わらず美術準備室には通ってるけど、教室で話すことは滅多にない。

それなのにシロはどうして気づいたんだろう。


「その…先生のことなんだけどね、中村さんに頼まれてプリントを届けに行った日にちゃんと話したの。」

どんな話でも、うん、と頷いてくれるからゆっくりだけど梨花には話せた。


「あたしがコンビニの店員だってこと、知ってたんだって。」

「やっぱり知ってたんだ」

さすがに気づかないわけないもんね、なんて言って笑う梨花につられてあたしも笑顔になった。

「夜遅く来てたのも、同じものばっかり買ってたのも、あたしに覚えてもらいたかったからなんだよって言ってた。」

「それって…」

「…先生ね、あたしが好きになるよりもずっと前から、あたしのこと好きだったんだって」

自分で話すのはやっぱり照れくさい。

だってもしかしたら自意識過剰だと思われるかもしれない。

…なんて、梨花は思わないか。