「そうかな?あたしは別にそうは思わないけど…何で?」
終業式後は自由解散だから、もうカバンを持って階段を降りて行く生徒もいる。
すれ違う生徒はみんな、これから始まる夏休みに浮かれてた。
「中村さんにね、お前は分かりやすいって言われたの。さっきもシロに…」
そこまで話して、ここから先を何て説明すればいいのか分からなくなった。
だって、梨花はあたしと先生の関係を知らない。
「何て言われたの?」
「……言われたっていうか…」
まだ言われない。
だけどあの様子からして、多分シロは気づいてるんだと思う。
「あのね、梨花に話してなかったことがあるんだけど…」
「…もしかしてそれって、篠原先生絡みのこと?」
「えっ?」
梨花の口から篠原先生の名前が出て、分かりやすく動揺してしまった。
それを見て梨花はクスッと笑う。



