「えっ、おい!」
梨花があたしの手を力強く引いてシロから引き離す。
後ろでシロがあたしのことを呼んでたけど、振り返れなかった。
「梨花、どうしたの?」
「あんなに困った顔してたらほっとけないでしょ、茉央は特に。」
自分から言わないんだから、なんて言って寂しそうにため息をつく。
梨花に分かるくらい困った顔をしてたなら、多分それはシロにも伝わった。
…シロが聞こうとしたことが先生とのことなら、もう肯定してしまったようなものだ。
「ねぇ梨花」
「何?」
「あたしってそんなに分かりやすい?」
何も言わなくても、先生との関係がバレてしまうくらい分かりやすいのか。
浮かれてたからかもしれない。
中村さんにも気をつけろと言われたのに、軽く考えてた。



