「…先生」
「ん?」
美術準備室に戻って木の椅子に座ると、先生はまた絵を描くのを再開した。
「変なこと聞いてもいい?」
「んふふ、何?」
絵から目を離さずに絵の具を重ねていく姿をジッと見つめる。
告白は、された気がする。
だって好きだって言われたし。
でもそれで付き合うことになったのかと聞かれれば、何とも言えない。
のんびりした人だから、あたしのことを彼女だと思ってるのかもしれないし、思ってないかもしれない。
その辺は先生にしか分からない。
「…あたしって、先生の彼女…?」
違うよ、って言われたらどうしよう。
正直先生が何考えてるかなんてよく分かんないし、好きだけど付き合ってはないってこともあり得る。
……先生だから、あり得る。
質問が変過ぎたのか、先生は手を止めて振り返った。
何言ってんの、って顔してる。



