「気をつけて帰れよ」

「うん、部活頑張ってね」

友達みたいな会話をした後、中村さんはグラウンドに出て行く。

もうすぐ梅雨が明けるこの時期は、毎年のことながら蒸し暑い。

久しぶりに晴れたから中村さんも少し嬉しそうに部活へ行ってしまった。


「…帰ろ」

一瞬美術準備室が思い浮かんだけど、すぐに無理矢理消した。

もう少し…

あと少しだけ気持ちの整理をしたら、先生に会いに行こう。

避けてごめんなさいって。

いきなり泣いて、あんなこと言ってごめんなさいって。

きちんと謝らなきゃ。