「……ごめん、思わねえ」
「えー!?高2といったら、青春だろ!?」
肩を揺らされて、首が、がくんってなる。地味に痛い。
「なぁ!青春しようぜーっ!」
「青春しようぜってお前なぁ……」
「せーいーしゅーんっ!」
手拍子をしながら「青春したいですアピール」をする山吹。
クラスの数人が、こっち見てるからやめろ。
「今、青春しないと絶対後悔するって!青春は取り戻せないんだぜー!」
「あのな、山吹。青春ってのは、もともと中国で、春を指す言葉なんだぜ?」
「……そうなのか!?」
めちゃくちゃ驚いた顔をする馬鹿な幼馴染。
こないだ「俺、中国行くわ。マジで行くわ」とか言ってたのに、なんも分かってなかったのか。
「それに青春なんて、もうとっくにしてるだろ?今、俺達は最高に輝いてるだろ?」
「……蒼井……恥ずかしくねーの?」
「うるせーよ!感動しろよ!」
山吹のでこを軽く小突いて、ため息をつく。
青春、か……。
さっき山吹に「青春してるだろ」とか言ったけど、ハッキリ言って、全くしてなかったな。
彼女いなかったし、勉強もそこそこだったし、運動もそこそこだった。
部活は吹奏楽部で、ずっとパッパラ吹いてただけだし。
全く輝いてなかったな。俺。
