保健室の甘い時間

「ねぇ、岩瀬先生……」


吉岡先生は私の側まで来て


「お見合い……、するって本当ですか?」

「えっ?」


何で、吉岡先生がお見合いの事までも知っているの?


昨日、諒ちゃんと飲んでいたお店は居酒屋。

いくら同じお店に居たからって、あんなに賑やかな場所で聞こえるわけがない。

もし、近くの席で飲んでいたら、さすがに気付くはず。


「お見合い、するんですか?」


私の返事を急かすように、もう一度聞いてくる。


「はい」


私は母親に“お見合いをする”って返事をしたわけではないけど、きっとお見合いの話は進んでいると思う。


「でも……」


吉岡先生は私をじっと見つめる。