私が答えに躊躇っていると


「美咲さんの正直な気持ち聞かせて」


吉岡先生は私から目を逸らさず見つめたまま。


「もし相手の人がそう言ってくれたら……、結婚すると思う」

「それはあの人でも?」

「あの人って、圭太?」

「うん」

「そんな事あるわけないよ!相手が誰でもいいわけないじゃない」


吉岡先生の言葉に私は悲しくなる。

だけど、今は学校。

泣くわけにはいかない。


「……和生じゃなきゃヤダよ」


私はそう呟く。


「よかった……」


私の言葉に、吉岡先生は私をまた抱きしめる。

そして、少し腕の力を緩め、私を見る。


「美咲さんにこんな事言っていいのかわからないけど……。俺、正直、まだ結婚は考えられない」


そうだと思っていたけど、やっぱりちょっとショックだ。