ー数分後ー



しばらくすれば教室の扉が勢い良く
開かれ、速水が慌てた様子で私の所
に来た。



そして私の所につけば
速水は私を抱きしめた。



『えっ…?』



「無事で良かった…」



そういって腕を腰に回し
強くそして優しく抱きしめた。
何故か速水から伝わる温もりが
心地よくってもっと感じたいと
思い自ら腕を速水の背中に回した。



私の行動に驚いたのか
すぐ手を離して速水は謝った。



「………悪い」



「あー‥うん。」



何してんだろう自分。
速水は龍じゃないって
心で分かってるのに…速水に
龍の面影を探してしまう。



「…せ……ゎせ…柏瀬!」



『…え?あ…ごめん。何?』



トリップしてた…。
しかも、速水が
名字で呼んだのって初めてだ。



「いや、…お前これから
今日からずっと倉庫に行ってもらう」



『は?無理』



予想もつかない言葉が
出てきてびっくりしてしまった。




「ダメだ。
言うことを聞け」



『なんでそこまで
倉庫に行かせたいの?』



「……他の族にお前の事が
バレた。だから狙ってくる奴
がお前を傷つけるかもしれないんだ。

すべての族が良い奴じゃないんだ」


知ってる。
もし良い奴だけなら
龍が死ぬはずなんてなかったんだ。



『それは知ってるから
ご心配なく。

あと、自分の身は自分で
守れる。速水が心配する
必要はない。』



「いい加減にしろ、
仲間を心配して何が悪い
お前がなんと言おうと毎日
倉庫に連れて行く。
無理やりにでもな…。」



仲間‥
何でそこまで私の事
思えるの?
知り合って間もないのに‥‥。



“大丈夫”そう言おうと
思ったけど速水の目を見たら
絶対ダメって言われると
思ったからやめた。



『はぁ…
分かったよ。でも
用事で行けない時もあるから。

それでも良いなら倉庫に
行ってあげるよ』



「……わかった。
それで良い。」



そう言いながら
あんまり納得してない
顔してるんだけど‥‥。



あっ、そうそう
忘れてた。



『はい、これ』



速水にブレザーを渡した。
それを見た速水は少し驚いた顔をした。



「これって、」



『……速水のでしょう?』



「あぁ、でも何で
お前が持ってるんだ?」



『え?』



「彼方に貸したはずだけど。」



『…そう。分かった。』



てことは彼方が
かけてくれたの?



じゃ後で一応お礼
言わないと‥。



「お前…」



『なに?』



「いや、何でもない。』



不機嫌そうな顔で何でもない
って言われても…



『はや…』



~♪~♪~♪~♪~



速水を呼ぼうとすれば
黒の携帯がなった。