「ん……」

目を開けると俺はどこにいるのか
さっぱりわからなかった。

「あ、起きた?」

後ろを振り返って見ると
ゆかりんが携帯をいじって俺をチラッと見た。

あぁ……ここPEACEの……

なんて思いながら立ち上がって
近くの丸い椅子に座る。

「隆全然起きないんだもーん。
実彩の手ギューって握って、
こっちまで恥ずかしくなったって」

いや、そんなつもりはなかったんだけど……

恐らくつらそうにしている実彩から
離れたくなかったんだろうな……

「杏ちゃん、まだ帰ってきてないの?」
「うん、そっとしといたほうがいいと思って
ほっといたけど……大丈夫かな?
近くにいればいいんだけど……」

心配そうにドアを見つめるゆかりんの視線には
もちろん杏ちゃんはいない。

「きっと今頃反省して泣いてるかも……」

ゆかりんがそう呟いて目線を次第ににしたと同時に

「ん……いや……」

ソファーで寝ていた実彩が急にうなされて
苦しそうにもがきだす。

「実彩……?」
「みーちゃん!?」

俺達はすぐさま実彩に駆け寄った。

実彩の額からは尋常じゃないくらい
汗が出ている。

「ゆかりん、タオル!!」
「うん!!」

ゆかりんが素早く動いて
持ってきてくれたタオルで
実彩の汗を綺麗に拭き取る。

「や……やめて……」

苦しそうに腕を動かす実彩に心が痛くなる。

「実彩!!」

「……た、ひろ……たす、けて……」

その言葉にビクッと反応する。

今……実彩俺の名前呼んだ……?

「実彩!!」

俺が再び名前を呼ぶと……

実彩はゆっくりと目を開いた。

「実彩、大丈夫か!?」
「みーちゃん……」

俺は安心して肩を落とす。

「みーちゃん大丈夫?」

でもゆかりんが問いかけても
実彩の目はトローンとしたまま……

不安になって俺も問い掛けてみる。

「おい、実彩大丈夫かって……うぉ……」

俺は次の瞬間
目をとんでもなく大きく開いて驚いた。