「いやぁーーーーー!!」

エレベーターに乗ろうとロビーで待っていると
近くから大きな悲鳴が聞こえた。

「実彩……?」

慌ててその声が聞こえてきた方向に行くと
電気がついている部屋が一つだけあった。

その部屋の中に入ると……

目の前にはうずくまっている実彩。

実彩を支えるゆかりん。

そして怒りを露わにして泣いている
杏ちゃんがいた。

「実彩!!」

俺は思わず実彩に掛け寄る。

「隆?」

パニック状態のゆかりんをよけて

「おい、実彩!!しっかりしろ!!」

実彩を持ち上げて軽く揺すってみるが、
何も反応しない。

「隆どうして……」
「エレベーターに乗ろうと思ったら
実彩の悲鳴が聞こえて……
ここって、PEACEの溜まり場だよな?」

壁一面にビッシリと飾られている写真には
全てPEACEの二人が写っている。

一度もここには来たことないが、
それだけでPEACEが使っている部屋だと気づく。

「えぇ、そうよ」

俺はそっと実彩をソファーに倒して二人を見た。

「どうして、実彩がこんなふうになったの?」

すると二人は俺から目を離す。

「もし、実彩をここまで二人が追い詰めたなら……
いくらなんでも許さないけど」

するとゆかりんは俺に何か言おうと口を開けた。

「なんで……」

けれど、この声はゆかりんではない。

奥にいる杏ちゃんの声だ。

「え?」
「なんで実彩には
こんなに好きになってくれる人がいるのよ!!」

杏ちゃんは俺を睨みつけながら声をあげた。

「実彩は隆のこと突き放したのに……
なんでそんなに実彩ばっかり追うのよ!!
実彩ばっかりずるい!!
私なんて……誰もいないのに!!」

杏ちゃんがそう言った時、
真司のあの言葉が頭をよぎった。

“実彩ちゃんと比べられたりしてつらいんや”

「どうして、隆はそこまで出来るの!?
私だって、そんな相手が欲しい!!」

そう言って杏ちゃんは部屋から飛び出てった。