______

部屋につくと私は思いっきり
黒いソファーに倒れこんだ。

「飲み物持ってくるね!!」

ゆかりんは小さい冷蔵庫から私に水をくれた。

「ありがと……」

その水を一口飲んでから呼吸を整える。

杏奈は向かえのマッサージチェアーに座って
私をジッと見ていた。

そんな杏奈を見てると、なぜか隆弘と
初めて喧嘩した時を思い出してしまった。

「何か、あったの?」

遠慮がちにゆかりんが私に聞いてくる。

「私……私、酷いこと言っちゃった……」

私は思わず隣に座ってたゆかりんに抱きつく。

ゆかりんはそんな私の頭をそっと撫でてくれる。

「もう二度と現れないでって……隆弘に……」

思い出しただけで涙が出てくる。

「……え?隆に会ったの?」
「さっきコーヒー買いに行ったらそこに……」

隆弘にそう告げた時、凄い悲しい顔をしてた。

私は絶対に……

「隆弘のこと……傷つけた……」

そう言ってゆかりんに顔をうずめると……

「ふざけないでよ……」

今まで黙っていた杏奈の低い声が聞こえた。

「……え?」

驚いて顔をあげると杏奈は怒りを露わにしていた。

「ふざけないでよ!!
隆を傷つけた?
笑わせないでよ!!
もうとっくの前に実彩は
みんなを傷つけているんだよ!!」

大声を挙げている杏奈に目を大きく見開いた。

「杏奈、やめなよ」
「ゆかりんは黙ってて。
実彩なんて言ったの?
隆から離れるって、そう言ったよね!?
出来てないんじゃん!!
隆弘、隆弘って完全に依存してるんじゃん!!
だから言ったのに……
本当に言ってる?って。
実彩にはやっぱり過去を忘れることなんて
出来ないんだね!!」

杏奈の言葉に心臓がドクッと嫌な音を立てた。