「なんで……なんでいるのよ……」

私はとめどなく涙を流しながら
誰にも会わないように必死に走った。

ただコーヒー買いに行っただけなのに……

「なんで、会っちゃったのよ……」

後悔しながらも仕事していたスタジオに戻る。

ーバンッ!!

「はぁ、はぁ……」

息を整えながらも
鞄を取って溜まり場に戻ろうとすると

「みーちゃん!?どうしたの!?」

驚いた様子のゆかりんが私に駆け寄る。

「ごめん、ちょっと部屋に戻るね」
「どうしたの?具合でも悪い?」

心配そうにしているゆかりんと
今までダンスの指導をしていた
ダンスの振り付け師さん。

「いや、今この状態で何も出来ない……」

ゆかりんは振り付け師さんと目を合わせてた。

「すいません、今日はこれで終わりましょう」
「……え?」

困っている二人にそう言ったのは杏奈。

「今日はもう10時間以上踊ってるし、
大体整ってきてるので
明日に持ち越して大丈夫じゃないでしょうか?
予定終了時間の30分前ですし……」

二人を納得させるような発言に目を眩ませる。

「そうね、MISAもこんな状態だし。
整ってるから明日仕上げれば大丈夫そうね」

振り付け師さんはニコッと笑った。

「ありがとうございます」

杏奈はそういうと私に駆け寄った。

「戻ろ?歩ける?」
「うん、ごめん、ありがとう」

杏奈はそのまま私に手を回して
部屋までの道を送ってくれた。

ゆかりんはしばらく振り付け師さんと
明日の日程について話してから
私達の元に後ろから走ってきた。

「大丈夫?おいしょ……」

ゆかりんも私を支えながら隣を歩いてくれる。

そんな二人の優しさにありがたみを感じて
私の涙はなかなか止まらなかった。