[完]Dear…~愛のうた~

「……え、それって……どういうこと?」

驚きを隠せない様子の直人。

「そのまんまの意味。
これからChargeとは仕事をしない。
前から話してたデュエットの話も、
これからやる予定だった仕事も。
出来ればイベントでも違う時間帯で出たい」
「……どうして?急に……
あいつらのこと嫌いになった?」

質問攻めの直人に比べてゆかりんは
どこか納得したように私をジッと見ていた。

「ううん、違うの」
「じゃあ、もう自分自身が無理とか?」
「それも違う」
「じゃあこれから「隆でしょ?」

直人の声を遮って聞こえたのはゆかりんの高い声。

「……え?」
「隆がいるから気まずいんでしょ?」
「え?なんでそうなるんだよ」

直人の頭の回転を置いてゆかりんは話続ける。

「隆と会えないんでしょ?
隆のこと意識してるの?」
「半分正解、半分間違ってる」

私とふふっと笑って目線を外に向けた。

「ゆかりんが言ってた通り原因は隆。
けど、気まずくなんてない。
むしろ今は会いたいくらい。
でも杏奈が教えてくれたの。
私の過去に隆が似てるって」
「え?」
「それはまだ教えれないけど……
私隆に依存してるの、きっと。
そしたら私周り何も見えなくなっちゃうから。
だから隆から距離を置きたいの」
「え?いや、……え?「なるほどね」

やっぱり直人には理解出来てない様子だけど
ゆかりんはしっかり理解してる様子。

「理由はわかったわ。
けど、そんな簡単に仕事は変えられない。
前の企画はなくなっても
同じ事務所っていう理由で
番組の出演が近くなる時だってあるし、
全てが全部Chargeとは違う時間帯になる
とは限らないわ」

やっぱりそうだよね……

「私一人じゃ何も動かないよね……」
「……ところでみーちゃんは
隆から離れられるの?」
「……多分」
「多分って……随分曖昧だね」

呆れたように苦笑いするゆかりん。

「だって、まだわかんないし……」
「わかった。
まぁ、みーちゃんの様子を見て検討するわ。
だからこの話は一旦保留にしよ、ね?」
「わかった」

ゆかりんの言葉で
直人はあっさりと片付けられて
二人は部屋を足早に出て行った。

「ふぅ……」

再び本に手を伸ばすと頭に激痛が走った。

「なん、で……?」

何も考えてないのに……

しかも1日で二回もなったことなんてないし……

複雑な心境の中私はただ目を瞑って
眠りにつくのを待っていた。

これがあるサインだということも知らずに……