もう一度言ったこの言葉……

俺は諦め悪いのかもしれない。

いや、絶対諦め悪いんだ。

実彩の答えはどうせわかってる。

けれど、その答えが悪くても
俺は実彩を好きでいると思う。

いや、もっと好きになってると思う。

俺は実彩を見つめていると
実彩がいきなり顔を歪めた。

「痛っ……」
「実彩?どうした!?」
「ごめん、頭痛いだけ」
「だけって、大丈夫かよ!?
今看護師さん呼ぶから「やめて!!」

ナースコールに近づけた腕は
実彩の細い腕によって遮られた。

「大丈夫、いつもの、事だから」
「え?」
「たまにこういうことあるの。
考え過ぎたり、昔のこと、思い出したりして」

それって……実彩は精神的に何か追い詰めている?

「大丈夫、寝たら、治るから。
……そんな顔、しないで?
大丈夫、だから、悪い、けど出てって、もらえる?」
「え、あぁ」

俺はゆっくり足を進めドアに手を掛けると

「……隆弘」

彼女は苦しそうに俺を呼んだ。

「ん?何?」

振り返ると実彩は静かに涙を流していた。

「ごめん、私、隆弘、とは、付き合えない」

こんなことになるはわかっていた。

予想的中、か……

「ん、そっか。
返事くれてありが「でも」

俺は言葉を止めて実彩を見た。

「でも私……隆弘、のことが、好き」
「……へ?」
「仕事仲間、以上に好き。けど……」

実彩は一度下を向いて言葉をためらった。

「私のそばに、いると、みんな迷惑、掛かるから……」

実彩は苦しそうに笑ってそのまま失神した。

「……どういう意味だよ」

実彩を見つめたまま
俺はそこに立ち尽くしていた。