「俺のせいで……ごめんな?」
「ううん、大丈夫だよ?」

何このぎこちない話……

「実は俺もこの企画やりたかったんだ」
「……え?」
「実彩を知る前からずっと。
あ、実彩の姿は企画やる時知ったんだけどさ」

……それ、私も同じ……

「その時凄いタイプだった。
それで初めて顔を合わせた時、おもしろい子だなと思って。
実彩と話した時には
もうめっちゃ嬉しくて楽しくて
ずっと話してたいなんて思ってた」

それも私もだよ?

隆弘の話いつ聞いても
おもしろくて飽きなかった。

「でも気づいたんだ。
実彩は俺にとって遠い存在なんだって」
「……え?」
「実彩がレコーディングする時
見に行ったんだ。
そしたら実彩は予想以上に歌が上手かった。
俺が聞いた中で一番心が入りやすくて、
一番落ち着く声だった。
その時気づいたんだ。
実彩は俺が手を伸ばしても届かないってね」
「……そんなこと……」

そんなことない……

私だって昔は凄い歌が下手で
よくからかわれてたの。

けれど、どうしても上手く歌いたくて、
たくさん練習しただけ。

きっと隆弘のほうが原石は輝いていて、
歌の世界も広がらいるはず。

「でも人ってどうしても我慢出来ないことってあるよな。
俺弱ってる実彩見て我慢出来なくなったし」
「……え?」

私はそのままペットボトルを外して
腫れた目で隆弘を見た。

「あの時ちゃんと言えなかったからもう一回言うよ」

真っ直ぐな瞳に目線を外せなくなる。

「好き、俺は実彩のことが好きだ。
返事なんていらない。
ただ、伝えるだけだから。
俺は実彩のことが好きなんだ」

面と向かって言われると
さっきまで考えていた答えが口から出てこない。

いっそ、このまま彼から離れるのが怖い。

もっと一緒にいて欲しいなんて思ってる。

私……どうすればいい?