「……ん……」

目を覚ますとなぜか腹部が痛かった。

そして……ここはどこ?

真っ白な景色……

全くわからない。

「ん……」

何か音がして隣を見ると……

うっすらと目を開けているゆかりんがいた。

「……ゆかりん……」

するとゆかりんはガバッと起き上がって

「実彩!!」

私の顔をまじまじと見た。

「あー、よかった。麻酔が覚めて」

麻酔?

「ここって、病院?」
「え、そうよ?
ひったくりにナイフでグサッと刺されたでしょ?」

あぁ、そっか。

だから縫ったってことね。

「っていうか大丈夫だった?
よくひったくりに立ち向かったよね」

呆れたように話すゆかりん。

「だってそういう人ムカつくから」
「はぁ、本当に正義感強いんだから!!
心配掛けて」
「……ごめん」
「あそこで隆に助けてもらわなかったら
どうしてたのよ!!」

“隆”

そのフレーズにビクッとする。

あの日の彼は変わってたから。

「あ、仕事どうなったの?」
「仕事!?それどころじゃないよ!!」
「へ?」
「もう凄いことになってるんだから!!」

それからゆかりんに言われたことは
まずしばらく仕事が出来ないこと。

まぁ、この体じゃね……大体完治2週間だって。

それからこのことは報道に出ていること。

まぁ、それは全然いいんだけど、事務所に申し訳ない。

で、最後のやつがありえない。

「隆とみーちゃんが二人でいたって。
それに隆が助けたから熱愛報道みたいになってるよ!!」