「う……」

実彩はその場で苦しみ出す。

「実彩!!」

俺は急いで実彩に駆け寄って実彩を支える。

すると実彩は俺に体を預けてそのまま倒れこむ。

「あ……あぁ、はぁはぁ、俺は知らない……俺は知らない!!」

男はパニック状態に陥りその場に尻餅をついて後ろに下がっていく。

すると体格のいい年配の男の人がその男を押さえつけて誰かが警察を呼んだ。

「おい、実彩しっかりしろ!!」

実彩の刺された場所は腹部でそこからは真っ赤な血がとめどなく流れてく。

「う、誰……?」

サングラスで視界が悪いのか俺のことがわかってないみたいだ。

俺は自分のサングラスと実彩のサングラスを取って顔を合わせた。

その瞬間俺達に気づいてキャーキャー言い出す観衆。

実彩の額からは汗、眉間にシワが寄っていてとても苦しそうだ。

「隆、弘……」

そう呟いた実彩の顔はどこか安心そうだった。

「もう救急車来るから。待ってろよ?」

すると実彩は頷いて刺さっているナイフを抜いた。

「はぁ、はぁ、あのね隆弘「喋るな、喋んなくていいから」

だけど実彩はそのまま首を横に振って俺に伝えてくる。

「隆弘、ありがと……」

その言葉に泣きそうになった。

「わかったわかったから。もう喋んな」
「隆弘……」

そんな声で呼ばれると思う我慢出来なくなる。

「……隆弘「ごめん、実彩もう無理だ」
「……え?」

もう限界だ。

「好きだ……」

この気持ちを言ってしまってからどうなってしまうんだろう。

「……え?」
「好き……好きなんだ」

僕らの関係はただの仕事仲間ですらなくなってしまうんだろうか……