「もういい!!私のことなんてほっといて!!」

そう言って出てった彼女の背中にため息が出る。

そしてそのまま頭を抱える。

実彩は泣いていた。

わかってる。実彩を泣かせたのは紛れもなく俺だ。

けれど俺は何も言えないのも真実だ。

俺の気持ちは正直気づいている。

俺は実彩のことが好きだ。

この気持ちに嘘はないしもう歯止めが効かないこともわかってる。

けれどしょうがないんだ、わかってしまったから。

キミは俺何か手に届かない遠い存在だってね……

__________

しばらくして頭を冷やす為に部屋から出た。

すると……

「あ……」
「……おぅ」

一番会いたくない奴に会ってしまった。

「機嫌直って……ないよな」

苦笑いしながら明るく振る舞う奴に腹が立つ。

「別に……」

そう言って横を通り過ぎようとすると

「どうせ実彩ちゃんだろ?」

聞かれたくなかった言葉をまんまと聞いて来た。

「……お前に関係ないだろ?」
「関係ある。だって俺は実彩ちゃんのことが好きだから」

認めたくなかったことを言われて俺はそのまま後ろを振り返る。

気づいていた、光が実彩のことを好きなのことは……

けれど認めたくなかったんだ、俺と実彩の距離が近すぎるから。

「……だから?それ俺に言うことじゃなくね?」

そんな光に余裕がなくなってつい意地を張ってしまう。

「あるだろ。だって辻は実彩ちゃんのこと好きなんだろ?」

その言葉で俺は何も止めれなくなってしまう。

こいつには負けたくないから……

「……は?なんでそうなるんだよ。俺がいつそんなこと言った?大体実彩はただの仕事仲間で、ただ普通に関わってるだけ。恋愛対象なんかなる訳ない。そういうふうに見たことないし、思ったこともない。勘違いすんな」

その後すぐ俺は凄まじく後悔する。

ーガタンッ……

「あ……」

だってそこには涙を浮かべている実彩が立っていたんだから……