部屋に戻ると真司くんが私を心配そうに見ていた。

「ごめん、真ちゃん帰ってくれる?」
「え、帰らなくていいよ!!」

杏奈の言葉を私は思わず止める。

「え、でも「大丈夫。真司くんいい人だから。しかも二人で話してたのに申し訳ないから」

私が悪いんだしさ……

「いいの?実彩」
「うん、だから帰らないでいいよ?」
「……おん」

真司くんはそのままさっき座ってた黒いソファーに座った。

「で、何があったの?さっきまではいい感じだったのに」

私はさっきのことを二つに話すことにした。

_________

「あいつ……」

真司くんは呆れた顔をして横を向いた。

「ねぇ、実彩わかってるんでしょ?」
「……何が?」
「自分の気持ち。本当は気づいてるんでしょ?」

自分の気持ち、そんなのわかってる。

けど……

「認めたくないんだ……」

私は簡単に認めたくはない。

「はぁー、実彩いつまで過去にとらわれてるの?」
「……え?」
「実彩は確かにいろいろあったからもう恋愛しないじゃなくて、いろいろあったからこそ恋愛したほうがいいと思うよ?このままだったら何も始まらない」

何も始まらない……

「少しでも、自分のこと認めてあげたら?」

自分のことを認めたら自由になれるのかな……

「確かに過去は消えない。けれど、未来は変わる。そう私に気づかせてくれたのは実彩でしょ?自分が出来なくてどうするの?もっと自信持って!!」

自信……

「あいついつも何も気づかないで人のこと傷つけるんや。だから実彩ちゃんもたくさん傷つくかもしれん。けどな、これだけは覚えといて?あいつは悪気があってそうしてる訳じゃないんや。いろいろ考えとるんや。あいつだって過去にいろいろあった。だから実彩ちゃんも前に踏み出してもええと思う。俺は応援してるで?」

真司くんはそう言って杏奈と目を合わせた。

「二人共ありがと……」

私もう少し自分に素直になってみようかな……