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数日後……

「こんにちは」

俺の目の前にはニコッと和やかに笑っている実彩。

今日は真司と杏ちゃんが曲の打ち合わせをしたいということで俺達も一緒に詩を作ろうってことになった訳なんだけど……

「遅くね?」
「うん、どうしたんだろ……」

全くあの二人が来ない……。

「あ、ねぇねぇあの二人に共通点が見つかったの!!」

嬉しそうに話し掛けてくる実彩。

あの二人とは……きっと今俺達が待ってる二人だろう。

「へー、どんなこと?」
「それがね、凄い意外なんだけどね?」

クスクスっと笑う実彩に興味が出てくる。

「あの二人……野球が異常なくらい好きなんだって!!」

ん?野球!?

真司はずっと野球部だったらしいし言われて見ればそうだけど……

「野球好きな人はたくさんいるでしょ」
「違うの違うの!!あの二人ファンクラブにも入ってるんだって!!しかも同じ球団の!!」

ファンクラブ!?

そんなこと真司から聞いてないぞ……

「それでそれで、二人に隣のチケット渡して距離を縮めるのはどうかな!!」

すごい目をキラキラさせて俺に聞いてくる実彩。

何だか必死にやっているところがかわいい。

「いいかもね」
「でしょー!!それで偶然みたいになってこれは運命かも!!なんて思わせてみるの!!どう?」

運命って……

真司はともかく杏ちゃんはないだろ……

「実彩って結構乙女なんだな」
「へ?……っていうか結構って何!?私とピチピチの乙女ですよーだ」
「乙女って全員ピチピチだろ……」
「そっか……でもね、私もいつかはちゃんと結婚したいなーとは思ってるよ?一生一人は嫌だし……」

若干シュンとする実彩。

「それも運命の人がいいの?」
「……いや、私に運命の人なんていないから………」

悲しそうに瞳を揺らして下を向く実彩。

何か変なこと聞いたかな……

「あーごめ「ごめん遅れた!!」

俺の言葉を遮って部屋に入ってきたのは杏ちゃん。

「遅ーい!!」
「ごめんごめん!!ちょっと道混雑してて……しかも真司くんと言い合いしてたらいつの間にか時間過ぎちゃった」
「何やってんのさ!!じゃ、罰ゲームで隆弘と私の昼ごはん奢ってね」
「えー!?」

杏ちゃんにドS発言する実彩にさっきの悲しい面影なんてどこにもなかった