すると再び美しい声が私の耳をかすめる。

「愛してる~なんて言えなくて~
いつもキミを不安にさせたけど~
僕の気持ちはいつもココにあって~ぇ~
弱かった自分にサヨウナラしたいんだ~
もう一度~夢でもいいから~」

あぁ、一緒に歌いたい。

何としてでも歌いたい。

この体がなくなっても絶対に歌いたい。

お願い……歌いたいの……!!

私に歌の楽しさを知った時のように、
もう一度、歌いたい……!!

「「戻ってきてよ……」」

私はそっと彼に視線をあげると
彼は私を見てとんでもないくらい目を開けて
私を上から見ている。

「会いたくて~会いたくて~
もしこの胸が押しつぶされても~」

自分でも信じられないくらい
透き通った声が私の喉を通っていく。

「僕はキミに会う為に生まれたんだ
この愛の歌~永遠に誓うよ~」
「Dear……実彩
Forever~」

そして私は一番言いたかったことを彼に告げる。

「隆弘」

すると隆弘の目に一瞬涙が溜まって見えた。

「実彩……」

そして、隆弘も私の背中にそっと腕を絡ませる。

「ごめんなさい……私、自分を見失ってた。
幸せが何なのかわかってなかった。
けど、この歌を聞いてわかったの。
私の幸せは、隆弘がいたからこそ
成り立ってたんだって」
「俺も自分を見失ってた。いくら実彩がいなくても
何回も別れてし、離れたし、大丈夫だって。
自分にそうやって言い聞かせてた。
けど、本当は違った。
ただ、強くなりたかった。
ただそれだけに実彩から逃げた。
俺もどうかしてたんだ」

そして二人共離れてしっかりと顔を見る。

「隆弘」
「ん?」
「まだ素直じゃない、絶対傷つける。
そんな私で本当にいいの?」

すると、隆弘は呆れたように鼻で笑った。

「俺だって、甘い言葉なんて言えないし、絶対不安にさせる。
それでもいいのか?」

そして私達は共に笑ってごまかした。

「ただいま、隆弘」
「おかえり、実彩」

そして二人はどちらからともなくキスをした。

「もう離さないでね」
「あぁ、もうそんな余裕ねぇよ」
「……バカ」

そんな二人を見守るようにベッドに座っている
あのカエルが少し微笑ましく私達を眺めていた。