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病院につくと急いで真司くんの後を着いて行く。

「ここやで」

案内されたのは大きな扉がある個室。

私はそのまま走ってきた勢いに合わせて
扉を強引に開けた。

すると目の前には杏奈と光、直人が
驚いた様子で私を見つめている。

「え、実彩?何で……」

杏奈の問いかけに耳も傾けずに
私の視線はベッドに向かった。

そして、目の前に映るのは……

それから私は思わず真司くんを思いっきり殴った。

何発も何発も……

そしてそのまま下から睨みつける。

「ちょ、実彩!?どうしたんだよ!!」

様子がおかしいと思った光が慌てて私を止める。

私はそのまま携帯を取り出して文字を打つ。

“どうして、嘘ついたの?”

すると真司くんは下を向いてしまう。

「え、まさか真ちゃん……」

杏奈は口に手を当てて私達を交互に見つめる。

”こんな状態なら、
ちゃんと言ってくれればよかったじゃない!!”

そのまま携帯を下ろして、再び彼を見つめる。

彼は、顔の傷が大きく、手足は包帯で巻かれて、
酸素マスクでしっかりと繋がれていた。

これのどこが、大したことない怪我なの……?

私はその姿に思わず目を逸らした。

「実彩、これは真ちゃんが気をつかって……」

だけど、酷すぎる。

軽い怪我なんていうから
顔にガーゼつけてるくらいだと思ってたのに……

見事に私の囁かな期待は裏切られた。

そのまま、ゆっくりと彼に近づいて顔を見つめる。

彼の顔は今までに見たことない程、無表情だった。

その姿に私はそのまま座り込み、
そっと彼の手を握った。

温かい……

無表情なのにまだとても温かかった。

ちゃんと隆弘はここにいる。

そう思った瞬間、涙が一つ、二つと流れた。

そしてもっともっと強く、
私は彼の手を握り締めた。

ごめんなさい……ありがとう。
お願いだから、目を覚まして?

そう心で何回も願いながら。