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「ゆかりーん!!」

私達は秀の家に入った瞬間
ゆかりん目掛けて走り出す。

「飛びつくなよー」

しかし、秀の一言で一旦動きを止める。

「あはは、大丈夫だって。
秀、心配し過ぎなんだから」

久しぶりに聞いたゆかりんの声に
涙が出そうになる。

「久しぶり、元気だった?」

優しい言葉と明るい笑顔に心を打たれる。

そして杏奈と一緒にそのままゆっくりと
ゆかりんを抱きしめる。

「ごめん、ごめんね?
私が勝手にいなくなって……
つらかったよね?大変だったよね?
私、本当に自分のことしか考えてなくてごめんね?
ずっと、二人に会いたかったよ……」

その言葉で私の目からは涙がこぼれ落ちる。

そして頭を横に振って
大丈夫を心の中で繰り返していた。

それから私達はしばらく抱き合っていた。

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「ありがと……」

私達の前にはレモンティーが出せれていて、
ゆかりんと秀が前に座っている。

ただ、私達の間に流れる沈黙に
少しの気まずさはあった。

「んー、と何から話そうかな?
何だかしばらく会ってなかったから
変な気分だね。
何から話せばいいのかわかんないや」

苦笑いするゆかりんの言葉に素直に頷く。

初対面でもないのに私の心に
張り詰めた緊張感が漂う。

「じゃー、今の2人についてから話そうか。
そーいえば、杏奈、真と付き合ってるんだって?」
「うん」
「そっか、やっと叶ったんだね。おめでとう。
どう?付き合ってみて」
「んー、思ってた通りかな。
クールだけど甘い時は甘いし。
更なるギャップが発見できたりして楽しいんだ」
「そっかー、いいなー若くて」

二人で幸せな話で盛り上がっている中、
私はただぼーっと二人の会話を聞いていた。

その話に少ししんみりとしながら。

恋か……

っていうかその前に声が出てくれないと困るけど。

そんな私に気づいた秀が私の頭にポンと手を置く。

「無理すんなよ。
溜め込み過ぎるのが実彩ちゃんの悪いとこ。
ゆっくりでいいから、
自分の言葉で伝えることが大切なんだぞ?」

秀に視線を向けると温かく柔らかい笑顔で
私を安心させるようにゆっくり話してくれた。

私は素直に頷き、秀に笑いかけた。

自分の言葉、か……